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NSR::STUDIES ON
RHINOGRADENTIA
鼻行類とは、近年まで知られていなかった南海のハイアイアイ郡島でのみ独自に進化したほ乳類の仲間で、分類学的にはひとつの目を形成している、たいへん珍しい生物です。
現在、NSRでは鼻行類についてわずかな情報しか得られていません。以下に、その一部を挙げます。
- 鼻行類は、通常の生物では嗅覚を司る感覚器官である鼻(鼻器)を、歩行、補食など、多くの用途に利用するという、独特の進化をした生物群である。鼻の形態は多様に発達しており、多くの種が存在するが、その分布域は狭い。
- 1941年、ノルウェー人のエイナール・シェムトクヴィストにより発見された。(ただし、1930年代にロシア人の研究家によって調査されていたとも云われる。)
- 鼻行類の研究については、ハラルト・シュテンプケ著「鼻行類」が唯一現存する書物*である。ただし、二次的に編纂されたレビュー論文等についてはこの限りでない。
- 鼻行類は、ほ乳類に属するひとつのorder(目)を形成している。
- ただし、現在はハイアイアイ群島の大規模な環境破壊の為、絶滅してしまった可能性が強い。
鼻で歩行するほ乳類、とはにわかに信じ難いことと思います。しかし、鼻行類は妖怪や空想上の生物ではありません。ある器官が進化の過程で特異的に発達し、本来と異なる機能を獲得していることは珍しいことではありません。クワガタムシの大顎、ホウボウの鰓、ゾウの鼻・・・馴染みある生物でも枚挙に暇ありません。
鼻行類は、ハイアイアイ群島という生物地理的に孤立した環境で、非常に独特な進化をしたほ乳類です。地理的隔離により天敵が不在であった為に、他の多くの地域とはまったく別の系統が進化し、分化し、発展しました。
これは、例えば、オーストラリアの有袋類や、ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチと同じ現象です。鼻行類が、他の世界の生物相から分離したのは、ハイアイアイ群島の地質と植生についての研究からは遅くても白亜紀後期とされています。これは、約1億年ほど前ということになりますが、ちょうど大形爬虫類(恐竜)の時代からほ乳類の時代に移行する時期にあたります。つまり、鼻行類はほ乳類の進化が始まったころにはすでに生物地理的には隔離されていたのであり、このことは鼻行類の特異な進化系統を説明する十分な根拠と成り得るものです。N. エルドリッジとS. J. グールドの唱えた異所的種分化説を引き合いに出すまでもなく、生物地理的な隔離は遺伝子頻度の差異と地理的要因の差違という系統の分化を促す2つの大きな要因です。不思議なことに、これまであまり世に知られることの少なかった鼻行類ですが、NSRは現在鋭意調査中です。
新事実が発見され次第、随時レポートしていく予定なので、御期待ください。
*)幾度か出版社の都合で廃刊されましたが、現在は平凡社ライブラリーから日本語訳が刊行されています。
- Archrrhinos heckelii ヘッケルムカシハナアルキ について
- Emuncttor sorbes ハナススリハナアルキについて
- Nasobema Lyricum モルゲンシュテルンオオナゾベームについて
- 鼻行類の化石 多鼻類の進化に関する定説が覆される可能性
- ムカシハナアルキが生きていた? -残された写真の謎の動物
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